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コラム

2024.07.02

厚労省担当者らが診療報酬改定と医療DXを語る メドコムとCBホールディングスがセミナーを共催

 医療機関専用スマートフォンの開発・販売などを⼿掛けるメドコムは5月23日、CBホールディングスと共催でオンラインセミナーを開いた。テーマは「令和6年度診療報酬改定 解説 ~働き方改革、DX推進の展望」。2024年度の診療報酬改定では、基本方針の中で初めて「医療DX」というキーワードが登場し、デジタル化推進への流れがより鮮明になった。医師の働き方改革をはじめ山積する課題解決に、医療DXが果たす役割とは-。

DX推進で、数年後には医療の質向上を患者が実感

 セミナーの第1部では、厚生労働省保険局医療課課長補佐の加藤琢真氏(写真)が登壇。医療機関によってはDX化のメリットが見えづらいという状況の中、加藤氏は「それを後押しするような形で改定が行われた」と振り返った。その上で、「数年後には医療DXによって医療の質が向上したことを患者が実感できるように取り組みを進める必要がある」と述べた。
 医療DXを進める上での柱の1つとされるのがマイナ保険証だ。ただ、全国の利用率は直近でも6.56%(24年4月実績)と低空飛行で推移している。低迷の要因として加藤氏は「旧医療情報・システム基盤整備体制充実加算や、それを見直して新設された医療情報取得加算も同様に、患者はマイナ保険証を使用すると医療費が安くなるものの、医療機関にとっては収益が減るという構造になっている」と、これまでの課題を指摘した。

 その上で、加藤氏は24年度改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」の存在を強調した。

 同加算は、マイナ保険証や電子処方箋、国が2025年4月から運用を開始する予定の電子カルテ情報共有サービスに対応可能な体制の整備を評価するもので、医科では初診時に月1回8点(歯科6点、調剤4点)を算定する。電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスへの対応のほか、▽オンライン請求を実施▽オンライン資格確認のシステムを導入▽オンライン資格確認で取得した診療情報を医師が診察室や手術室などで閲覧・活用可能▽マイナ保険証の利用実績(利用率)-などを基準にする。
 加藤氏は「24年10月には算定要件となるマイナ保険証の利用率の基準が示されることになっている」とし、各医療機関に対し、マイナ保険証の積極的な利用の呼び掛けを求めた。

 また、質疑応答では、サイバーセキュリティー対策の強化を促す「診療録管理体制加算」に関して質問が出た。同加算の施設基準では、医療情報システム・サービス事業者と交わした契約書にオフラインでバックアップデータを保管することが記載されているかを確認した上で契約書の提出を求めている。質問者は「医療機関の職員がバックアップ作業を行う場合はどうすべきか」と尋ねたところ、加藤氏は「オフラインでのバックアップデータの保管について、具体的な運用方法がわかる資料を提出してもらえれば問題ない」と応えた。

DX化の流れに振り回されないために

 第2部では、医療行政のデジタル化推進に取り組むメディカルデザイン総合研究所代表の島井健一郎氏(写真)が、「DX医療の姿と要諦」をテーマに講演した。
情報通信技術(ICT)を活⽤した「地域医療情報連携ネットワーク」が各医療圏で進められる中、多数のシステムが乱立している点を課題に挙げた。「異なるシステムで管理されている医療データを共有したり、利活用したりすることは困難な状況にある」と強調。医療機関や各医療圏での部分最適ではなく、「全体最適を図る必要がある」と訴えた。そのためには、医療システムを整備し直し、一定のルールに則った医療データを作り直していく必要があるとした。
 さまざまな医療データはシームレス(継ぎ目がない)につながり、高度に利活用されることで医療の質が向上し、医療・医学の進歩の加速が予想される。島井氏は、そうした未来を見据えながら「各医療機関が情報化というものを見直していく必要がある」と述べた。そのためには、積極的に外部の事業者や自治体とも連携し、多くの情報を収集しながら進める必要があるとし、「経営層がリーダーシップを発揮しながら従前の業務プロセスを変革していくことも重要」だと指摘した。

 その上で、島井氏は、情報システムの基盤構築やユーザーインターフェースの設計、セキュリティポリシーの策定など戦略を立てながら進めることが望ましいと強調。DX化の流れに振り回されないよう、ベンダーを医療DXのパートナーと位置づけることを提案した。

問われる 経営トップが描くビジョン

 第3部では、メドコム取締役COOの内海雄介氏(写真)が、同社が提案するスマートフォンの導入病院が増えている点に触れながら、医療DXや働き方改革を解説。
内海氏によると、同社のスマートフォンのユーザー数は4万人超。内海氏は、その背景に▽PHSからの切り替え▽セキュリティー対策への意識の高まり▽働き方改革-の3つがあることを挙げた。
 21年にPHSの個人向けサービスは終了したが、病院などで使われる「構内PHS」は今も使える。ただ、メーカーによる端末交換費用は1990年代の普及期の3-5倍まで上昇しており、コスト削減の観点からもスマートフォンへの切り替えを検討する病院が増えている。
 その一方で、PHSと同様に内線電話の代わりのような捉え方をすると、働き方改革を実現させる可能性や本質的な業務改革を進める機会を失ってしまうと指摘する内海氏。スマートフォンのプラットフォーム上に情報を集約し、業務時間の短縮や生産性の向上が図れるとした。こうした点を踏まえて、内海氏は、さまざまな機器をつなぐハブとして捉えることがポイントとスマートフォンの役割を明確にしながら、スマートフォンをはじめとしたデジタル化は「あくまでも手段である」と強調した。

 デジタル化をテコに業務プロセスの変革や、病院全体の運営・戦略につながるものだとした上で、「経営トップがどのようなビジョンを描くかが重要になる」とした。


(執筆:株式会社CBホールディングス CBnews)

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